『暁夜の果てに:中編』





 夢も何も見ない。
 一同はまるで一瞬瞬きしたかのように、目が覚めた。
 チュン、チュンと雀が鳴いている。
 だが、全員が黙ったままだった。それぞれにようやく起き上がり、互いの顔を見て、互いの寝苦しさのあとをそこに見、 --------

「いやあぁぁ!!」

 外からの金切り声。
 堰を切ったように何人もの悲鳴が上がる。
「なんだ!?」
「そういえば夜中に騒がしかったわ……」
 アノンとレェレエンが立ち上がり、残りの者 ------- キーマももちろん含め ------- も続く。
 そこには、悪夢が広がっていた。
 至るところで人々が血を流して倒れ、身内や友人達がすがりついて泣き叫んでいる。
「……見るな……」
 思わず叫んだあと、ノースが、一同の中で一番幼いメルを自分の身体の後ろに隠す。「え?…なにがあったの!?どうして…?」とリカエナがつぶやくのが隣にいたアネットの耳に聞こえた。彼女はといえば、涙を流しながら必死に祈っている。
「…なにがあったんだ……」
 シュバがつぶやく横で、ルカは何も考えられない様子でただ呆然としている。
「早く誰か片付けろにゃ」
 ぼそっとつぶやくえもにゅーの後ろから、「生きてるやつはいないのか?」とロヴィンがやや青冷めた顔で進み出る。
「誰がどうしてこんなことを……埋めてあげましょう」
 レェレエンが痛ましそうに目を伏せながら言うと、アノンも頷く。
「埋めよう…そして冥福を祈ろう」
「だけど原因はわかんねぇのか?」
 苦虫を噛み潰したような表情で、レイヤ。
「あ……、」
 震えていたキーマが、倒れている人間の中に村長の姿を見つけて駆け寄る。まだ息はあるようだ。娘のイルマが父親の手を握り、涙をこらえている。
「村長! ゲルマ村長!」
「……キーマ、か……」
 ゲルマはうっすらと目を開き、キーマを見上げる。
「おい、治せないのか?」
 ロヴィンがイルマに尋ねると、イルマは泣きながら小さく首を横に振った。
「気がついたらベッドにいなくて……ここに倒れていて。私の力では、もう治せません……」
「いいのだ…私は自らこうしたのだから……」
 ゲルマの言葉に、キーマだけではなく冒険者達も目を見開く。
「そ、村長…それはどういう、……」
「キーマ」
 キーマの言葉を遮り、ゲルマ村長は慈愛を含めた瞳で見つめながら、最期の言葉をつぶやいた。
「お前は、……化物じゃない……とっても、いい子だった……」
 がくりとその首が横に傾く。キーマとイルマはその身体にすがり、泣いた。
「悪魔だ……」
 近くで泣いていた村人が、つぶやくようにそう言った。
 すると、その恐れが伝染したように他の村人達の口からも発される。
「悪魔だ……悪魔の仕業だ…逃げろ、残らず殺される!」
 わあっと村人達が、村から出ようとする。 ------- が。
「うわっ!」
「な、なんだ!?」
「身体がしびれる……!」
 不審に思ったアノンとレイヤが、村の入り口まで行ってみる。すると、出ようとしたところで身体に痺れが走った。
「これは……!」
「なんだ!?」
「……呪い、でしょうか」
 ついてきたリカエナも恐る恐る手を出して、感電した感じを覚えてすぐにひっこめる。
 試しにアノンがブレスをかけてみたが、変わらない。
「閉じ込められた……?」
 ルカがつぶやく。その言葉に、村人達はパニックに陥ることになった。



 村から出られないとあっては、冒険者達も為す術がない。
 亡くなった村人達を埋めるのを手伝い、その夜もまたキーマの家に泊まることになった。
 横になってすぐに、また外からたくさんの気配をシュバとアネットは感じた。
(またなにかおこるのか?)
(…………)
 シュバは様子を見に起き上がろうとしたが、また金縛りにあったように動けない。アネットはただ震え、祈りをささげるばかりである。
 寝つけないでいたほかの冒険者達も、また呪縛のように身体を何かに束縛されるような感じを受けていた。その時、ふと全員が「何か」を見た。
 いや、それは夢なのかもしれなかったのだが -------- 。
 アノンは、顔も知らない妹に「お兄ちゃん」と呼ばれるところを。
 ロヴィンは、プリンとレリューシャの悪夢を(ただしどんな悪夢なのかは本人にしか分からない)。
 えもにゅーは、お金でできた宮殿 ------ 彼のお城を。
 シュバは、相棒とくっついたはずの昔の女性を。
 ノースは、理想の女性を。
 レェレエンは、昔一緒に住んでいた、今は亡き恋人を。
 アネットは、恐ろしい化物を。
 レイヤは、自分の兄を殺してしまうところを。
 ルカは、恋人であったジンニーを。
 メルは、自分の両親を。
 リカエナは、海を。
 人によって悪夢にも幸せな幻覚にも見えるその「何か」をそこに見たのだ。ついで、頭が朦朧としてくる。
「う……ぁっ」
「はぁ……!」
「あ、な、何……?」
 ノースとルカ、リカエナが身悶えはじめた。手をのばし、自分達の武器をつかんで自分の身体を傷つけようとする。
 そして、ノースとシュバ、レイヤとメル、ロヴィンとキーマには聞こえた……「何者か」の声を。否、声ではなく ------- 直接頭に語りかけてくる不快な言葉を。

<殺せ……>
<皆死んでしまえ……>
<人を殺すのに最も簡単な手段が分かるか? くくく…それは、自殺に追いこむことなのだよ>

「な……なんやこれは!?」
「誰が喋っているんだ?」
「………うぜぇ」
「メル、こわいにゃ〜」
「誰だかわかんねぇけど、ふざけたことすんな!」
「こ、これは……何の、声……」
 キーマの言葉のすぐあとに、アノンがブレスを試みた。すると、僅差で自分を傷つけかけていた三人の身体から力が抜ける。
「危ないところでした……何か、突然死にたくなって……」
 ルカの言葉に、リカエナも小刻みに頷く。
「アノン、サンキュな」
 ノースの表情は、だが固い。
「どうしたの……? わたしには何も聞こえなかったけれど……」
 アノンのブレスのおかげか、いつのまにかもうすぐ近付いていた夜明けのせいか、起き上がれるようになったレェレエンが身体を重そうに起こし、声が「きこえた」彼らに尋ねる。
 声が「きこえた」ノース達は、「きこえた」内容を他の皆に話して聞かせた。
  -------- また、外から金切り声。窓から覗くと、昨日の朝のように人々が倒れ伏していた。
「誰かが……虐殺を考えているんですね……それも、大量の……」
 キーマが恐ろしそうに頭を抱える。「村長も、それで自殺したんだ……」とひとりごとのようにつぶやき、必死に泣くのを堪えている。
「大量虐殺? キ●ガイも休み休み言え」と、ロヴィン。
「あぁぁ!?何所のどいつだ、んなタコ!!」と、かなり頭に来た様子のアノン。
「大量虐殺…馬鹿にゃ?」と、えもにゅー。
「あぁただのあほだな」と、それに同感の様子のシュバ。
「そいつの我が侭でそいつより何百倍も重い命を無下にさせることはでけへんな」と怒りも露わに、ノース。
「お馬鹿さんがいるものね」と、内心実は腹立たしくも、わざとにっこりしながらレェレエン。
 アネットは黙ったままだが、心の中では「許せない」、と思っていた。
「そんな…、人を殺して何に……」と、ルカ。何か考えこむようにじっとうつむく。
「やめたほうがいいのに……相手が死んで、哀しむ人もいるでしょ?」と、メル。
「なんで。そんな?」と、当たり前の話だが腑に落ちないように、リカエナ。
「へぇ……」と興味があるのか、レイヤ。そんな彼をロヴィンがじろりと見つめる。
「お前、何考えてる?」
「え? 何ってオレもした……うそうそ、冗談だってば!」
 やけに焦るレイヤ。ロヴィンが何か言いかけたが、「こんな時に喧嘩はおやめなさい」とにっこりレェレエンに言われて「はい……」とあっさり引き下がる。
 皆がそれぞれに沈思したとき、キーマがそろそろと顔を上げた。
「あの……あなた達に依頼、してもいいでしょうか」
「ん…? そいつはどういう了見でだ…? 兄さん」
 シュバが聞き返す。
「この集団自殺の……、現状の真相をつきとめて、どうにか…してもらえないでしょうか? このままでは村人が全員死んでしまう……! もちろん、協力は惜しみません!」
「言われなくてもやってやる」
 アノンは即答した。レイヤとロヴィンが「げっ」といった顔で彼を見る。
「なんだお前ら、文句があるなら俺ひとりで行くぞ」
 アノンはすっかりやる気のようだ。
「めんどいにゃ。でも高報酬ならやってやるにゃ」
「えもにゅーさん……」
 えもにゅーの出した条件にアネットが焦るが、キーマは「報酬は……できる限りお支払いします」と答える。
「自分なんかが突き止められるでしょうか……」
「うにゃ……なんとかしたいけど……」
 些か頼りなげなルカとメルに、「出来る限りのことをすれば、それでいいのよ。わたしも引き受けるわ」とおっとりとレェレエン。
「ああ、わいもきになっとったさかいに。ええよ」
 最後にノースが言うと、ようやくホッとしたようにキーマは「ありがとうございます」と礼を言った。
「で、レイヤとロヴィンはどうするんだ?」
 アノンが聞くとレイヤは、「お前が……いや、みんながやるならオレも行くよ」とけっこう安直に答える。
「オレはぜってー行かねぇからな!!」  ロヴィンは頑なだ。そこにレイヤが「コワイのか?」と茶々を入れる。
「誰がコワイだと!?」
「お前以外にいんのかよ」
「てめぇ!」
「おやめなさいな……ね、ロヴィンの力も借りたいわ」
 ロヴィンの蹴りがレイヤの鳩尾に決まる直前、レェレエンがそっとその足を押さえる。
「喧嘩はやめろ。この状態をどうにかしたいと思わないのか?」
 アノンもレイヤをロヴィンから引き剥がして、さとす。
「はい……僕もやります」
 とたんにしおらしくなったロヴィンを見て、「なっさけないなぁ……」とノースがからかう。
 ロヴィンは小さく「うるせぇ」と言っただけだった。
「でも、……優しいのね」
 レェレエンが、キーマに微笑む。ルカも頷いた。
「そうですね……村の人達から厄介者扱いされているのに、村の人達を救おうとするなんて……優しいです」
 キーマは、「そんなこと……ありません」と目を伏せる。
「とにかく決まったね。だとしたら、最初は情報収集かにゃ?」
 メルが言うと、アノンも「そうだな」とうなずく。
「わいは可能なら、自殺した集団の知人に接触して情報を集めたいんやけど……」
「ああ、それもいいかもしれませんね」
 ノースの提案に、リカエナは賛成する。
「その前に、報酬先払いにゃ。ひとり五百シェケルで手を打ってやるにゃ」
 えもにゅーが、てっと手を出す。キーマは困ったように棚を探り、小袋を出してきた。
「ひとり…二百シェケルぶんしかありませんけど……渡しておきます」
「お前じゃ一人占めするだろ。オレが預かっとくよ」
 えもにゅーが受け取ろうとした隙に、レイヤが小袋をかすめとる。
「僕の報酬にゃ!! 取っちゃダメにゃ!!」
「ほ〜らやっぱりそうなんじゃねーか」
「ああ、どうしていつもなにかしら喧嘩になるんでしょう……」
 ルカが嘆いたそばで、シュバが立ち上がった。
「俺は盗賊ギルドに行って情報を集めてくる」
「ああ、頼む。こっちは……レェレエン、マジックギルドに行けるか?」
 アノンの質問に、「もちろんそのつもりよ」と微笑して、レェレエン。
「じゃ、別れて行動するか。わいはさっき言ったとおり、自殺した集団の知人を当たってくるわ」
 最終的に、そうして盗賊ギルド、マジックギルド、村人との接触、その他情報集めと四つのグループに分かれて行動することになった。



 集められた情報は、次のとおりだった。
 もっとも、村人達は怯えていてただ「悪魔が、」と言うばかりだったらしいのだが……。
 ギルドでは収穫があった。
 最近、タチの悪い「悪魔」の封印がとけたという。たぶん、あまりに強い負の感情にひかれてこの村にとりついたのだろうと。
「負の感情……確かにキーマさんをあんな目にあわせる人達がいるのなら、強い負の感情に違いないですね……」
 アネットが言うと、隣でレェレエンが「そうね」と深く思いに沈みながら相槌を打つ。
「で、その噂の悪魔とやらなんだが……村外れの、今はもう誰もいない塔にいるらしい」
 アノンの言葉に、「ああ…あそこですか……」と納得したようにキーマ。
 なんでも、「妙なものが見えたり聞こえたりする」キーマには、最近になってその塔の周辺にどす黒い霧のようなものが見えていたのだという。
「とにかく、行ってみん? これ以上惨劇が起きへんように」
 ノースの一声で、一行は早々に塔に足を向けた。キーマは案内するように一番前を歩いている。
「見える……まだ、黒い霧のようなものが……ただ、前よりもひどく濃い……」
 日の光を浴びてキーマの左右違う瞳が見える。だが、それを見た誰も、気味が悪いとは思わなかった。むしろルカとアノン、アネットは美しいとすら感じた。
「罠は……ないようだ」
 塔につくと、ひとつしかない扉をシーフのシュバがチェックした。
「悪魔がいるっていう証拠かしら。……悪寒がするわ」
「僕も寒いにゃ。報酬は倍にゃね」
 マジックユーザーのレェレエンとバードのえもにゅーが、何かを感じたのか自分の身体をさする。
「開けるぞ」
 アノンが扉の取っ手に手をかけ、ゆっくりと開けた。中は薄暗く、目を凝らすと頂上へ向かう階段がうっすらと見える程度で、ほかには何もあるように見えない。
「ホントにこんなとこにいるのかにゃ?」
 メルがなんとなくシュバの後ろにくっつきながら、入る。一番後ろにいたキーマが中に入った瞬間、扉が閉まった。
「! 閉じ込められた!?」
 リカエナが驚いて振り向くが、「ま、お約束といえばお約束だったなしまった」と、たいして困ったふうでもなくシュバが言う。
 キーマが絶叫を上げたのはその時だ。
「ど、どうしたんですか……!?」
「おい、どうした!?」
 アネットとロヴィンがキーマに近付こうとして、見えない力に吹き飛ばされた。
「ぼ、ぼくに近付かないで……! ダメなんだ…!」
 キーマは頭を抱え、必死に何かと戦っているように見える。
「思い出した……ぼくなんだ…ぼくなんです……」
「え…?」
「何が?」
 ルカと、半眼になっているレイヤが尋ねると、キーマは言った。
「悪魔との契約を…ぼくはかわしてしまっていた。そのことを悪魔はぼくの記憶から消し去った……」
 塔の中を、突風が吹き荒れ始める。
「何故、契約なんかを?」
 静かな口調で、レェレエン。キーマは震えながら、口を開いた。
「ぼくが…哀しかったから……。誰からも忌み嫌われて、淋しかったから……それなら楽にしてやる、って悪魔がぼくに語りかけた……ぼくは受諾してしまった……」
 ぱっと悲痛に歪んだ顔を上げる。
「ぼくは仲間が欲しかった……でも叶わなかった。その弱みを悪魔につけこまれた…みんなぼくのせいなんだ、みんなが死んだのも、ゲルマ村長が死んだのも……大量虐殺を望んだのもぼくだったんだ!」
「馬鹿にゃ」
 えもにゅーがきっぱり言うと、ロヴィンが尻尾を踏みつける。すっかり習慣になってしまったようだ。えもにゅーがひっかきをしようとしたとき、
「あ、あの背中…!」
 メルが、キーマの背中から出てくるどす黒いものを見つけた。それは辛うじてキーマの背中から離れないよう、ごく細い糸のようなもので繋がっている。
「は、早く……逃げて……ぼくは、とうの昔に狂って……しまったんだ……!」
 キーマの最後の言葉は、咆哮に変わった。
 ふっとその色違いの両瞳から光が消える。何かに操られるように、ただ立ち尽くす。かわりに、何か ------- おそらく悪魔のものだろう -------- の声が、一同の頭に響き渡った。

<贄よ 我を倒そうなどという愚かな思念を捨てろ……>

 含み笑んでいるような、楽しげな声。
「諸悪の根源が出てきてくれるとはありがたい」
 アノンはそして、ブレスを唱えた。
「キーマさんは傷つけないでください……」
 こちらもブレスを唱えようとしたが、アノンに先を越されたので胸の前で十字をきり、祈りの体勢に入るアネット。
「んな悠長なこと言ってられるか、こっちが殺されるかもしれないんだぞ!」
 弓をつがえながら、レイヤ。ついで、次々と一同は迎撃態勢に入る。
 くすくすと、どこからか悪魔が発する不快な笑い声が聞こえる。
「メルは怒ったにゃ〜えい!」
 と、爆弾を投げつけるメル。「わっ馬鹿よせ!」と焦ったレイヤが言ったが遅かった。
 メルが投げた爆弾はどす黒いものに命中した……が、密閉した空間全体に爆風が吹き荒れた。何故か塔が崩れなかったのがせめてもの救いと言えるだろう。
 爆風がやんだあと、煙の中から少しのダメージもないどす黒いもの……悪魔が現れる。

<我に 逆らうか ------- 愚かな贄よ>

「おらおらおら、調子に乗ってると死んじまうぜ!」
 デミルーンをくるくる回し、ロヴィンが攻撃に入る。だが、悪魔にあっさり跳ね返された。五メートルは吹き飛ばされただろう、危うく気絶するところをレェレエンが抱き起こす。
「だいじょうぶ? あなたはもう戦えないわね……あとでイルマさんに見てもらいましょう」
 レェレエンの言葉に、悔しそうに顔を歪めるロヴィン。それを見ていたレイヤ、悪魔に弓を放つ。が、これも跳ね返される。
「殺しはしない、痛かろうが我慢しろよ!」
 戦士化し、身体全体が銀色の光に包まれたアノンがキーマに攻撃をしかける。気絶を狙って剣の柄で鳩尾を狙ったのだが、おそらく悪魔の力だろう……キーマの身体に当たる直前で跳ね返された。
「ダメだ……強すぎます」
 同じくキーマに攻撃をしかけたルカも、跳ね返されて手首をおさえている。痛めてしまったらしい。
 突風が急に強くなる。視界が黒に染まる。と、全員が言い知れない恐怖と痛みに襲われた。
「な、一体何が……」
「しまった呪われたか?」
 リカエナとシュバの声を合図に、視界が突如開ける。キーマだけが、そこに倒れ伏していた。

<明日だ 明日全員 死ぬ…>

 可笑しそうに笑う悪魔の声を最後に、全員の意識は闇に落ちた。
 キーマの家で最初に寝た晩、混沌に落ちたように -------- 。






《後編に続く》