山も   海も   川も   、、、……

綺麗な ものを また 見ることが あるのだろうか

こんなに罪深い者にでも まだ 赦されるのだろうか

湖   森   空   …………

………赦されるのだろうか

ゼロには分からない。ゼロは血の歌しか知らない。たとえ間違っていたとしても罪の意識すらない。
つうっと涙が滑り落ちる。
何も考えていないのに、感情などないようなのに、勝手に涙が。
(ゼ ろ の きおく )
………
(もう いらない   )
人に迷惑をかけるだけの存在。誰の支えにもなれない存在。

イ ラ ナ イ …………

心の血が止まらないように、涙が止まらないのは何故だろう。
魂の半分は既にない。
……ゼロの心を引き止めるものもみつからない。

ゼロは死にたくない。死にたくない。
でもこのまま生きるのはつらすぎる。たとえ何十年もかけて生きたすえ、明るいものが待っていたとしても。
それまで生きるために、どれだけ周りに犠牲を払うだろう。
どれだけゼロはつらいものを見なければならないのだろう。
(………つかれた)
表面には出ないのに、心が悲鳴を上げている。絶叫のように。叫んでいる。ゼロの中で。
つかれて誰もいなくて何もない。

<死にたければ死ねばいい>

……、どこかで…そんな声が聞こえる。
ゼロの心を引き裂くように。
傷口をもっともっと開けようとするように。

やすらぎが ほしかった
あまえたかった
あんしんして やすめる ばしょがほしかった

<そんな甘いことを言ってるから駄目なんだ>

(………そう、………そうなんだきっと)

<お前にやすむことなど元から赦されていない。産まれたときからその瞬間から>

(…………生きたい のに)

いきるだけのかてがもうない。
いきるだけのちからがどこからもわかない。
きっかけがほしくてもなにもみつからない。

<だから誰かの手を借りて生きようと………?>

嘲笑うように声が続ける。

<それこそが最大の死ななければならない理由………>

死ななければならないのだ。どうしても。
もう出口は見つからない。
見つけるまでの体力も精神の余裕もない。

(ゼロ は 生きた かっ た)


…………ゼロは無に帰る。

安らぎなど永遠にない、たった一人の闇の永劫へ。





The End.........